Lie 3

 

「んっ…ふ…」
合わさる唇。心地いい…
キスだけでもこんなに気持ちよくなれるのは、相手が蛮ちゃんだから。
蛮ちゃん以外にこんなこと、できない…。

一度唇を離し、お互い見つめあう。
…ほら、やっぱり綺麗な瞳。
すごく優しい色を宿してオレを見てくれてる…。

どうしよう、蛮ちゃんが好きすぎる…。
蛮ちゃんがすごく高貴な、神聖な存在に思えて、いつか消えてしまいそうで。
すごく不安になってしまう。

あ…ダメだ、涙が…。

「銀次…?…嫌…?」
優しい蛮ちゃんは、ちゃんとオレの意見を聞いてくれる。
いつもはちょっと強引なのに、少しでもオレに変化があるとそれに気づいてくれる。

「ん…違う、の!…嫌なんじゃなくて…蛮ちゃん、が…」
消えてしまいそうで、オレから離れていってしまいそうで怖かった。
思ったままの事を、伝えた。

すると、より優しい表情を浮かべる蛮ちゃん。
…やっぱり蛮ちゃんはカッコいいなぁ…。
ふとそんなことを思う。

「ばぁか…絶対ェいなくなんねぇよ…
お前が嫌っつってもずーーっと一緒にいてやるよ」

胸が、苦しい。
でも嫌な苦しさじゃないの。
…蛮ちゃんへの気持ちが、溢れちゃう…

「蛮っ、ちゃ・・・!!大好きだよぉっ…」
オレ的にはがばっ、って抱きつきたい、のに…

「蛮ちゃぁん…手ぇ取って…?ぎゅってしたいよぉ…」
「………」
縛った手をほどいてやるつもりは、全然なかった。

けど…
こんな可愛い銀次のお願いごとを聞いてやらないほど俺は鬼ではありません。

「…ちっ、しょーがねーなー…
ほどいてやっから、そのかわり今日お前のこと抱きしめながら寝かせろ」
これが最大の譲歩。
これぐらいさせてくんないと、欲求不満で爆発しそうだぜ…。
いや、くっついてた方が危険なのか?
でも、銀次に触れたい気持ちには勝てない。

「蛮ちゃん……」
やっぱり、優しい。
オレが本当にお願いした時には、いつだって聞いてくれる。
…ひっこんだ涙がまた出そうになる…。
最近オレ涙腺弱いのかな?

蛮ちゃんが腕を優しくほどいてくれる。
「明日はぜってぇスるかんな」
「あのね、蛮ちゃん…そのぉ…オレ、蛮ちゃんとスるのが嫌なんじゃなくて…
えっと…だから、その…」

い…言えるわけない…
シてる最中の蛮ちゃんの顔が綺麗すぎて緊張してるなんて…!

「えぇっと…」
「んだよ、言えよ」
オレの腕をほどき終わった蛮ちゃんが、ぷにっと頬をつまむ。

「んにっ…ひょにょぉ…」
ちょ…話してくれないと話せないんですけど…

すると、蛮ちゃんは手を離した。
…オレ、何にも言ってないよ?

「ほれ、離してやったんだから早く話せ」
…蛮ちゃんは、オレがいちいち言わなくても全部わかってしまうのです。

「っ…だからっ、オレも蛮ちゃんとスるの…好きだよっ!
だけどね、その…シてる時の蛮ちゃんの顔がすっごい…」

「エロい?」
「あう…そう、なのです…」
先に言われてしまった。

だって、すっごい綺麗なんだよ?
ちょっと汗かいてるときとか、髪を伝って水滴が落ちてきて…。
その髪を片手で掻き上げるときの動作は、半端なくカッコいい。

「蛮ちゃん…綺麗なんだもん…」
たぶんオレ、今顔真っ赤だ…

「その、だからね、オレだって蛮ちゃんとシたいワケで…」
「もういい…しゃべんな、わかったから」
そう言ってオレの口をふさぐ蛮ちゃんの顔も、すっごい真っ赤だった。

…なんてめずらしい光景。
あの綺麗な表情もいいけど、こんな蛮ちゃんも可愛くていいかもしれない。

 

 

予想以上に長かった…(笑)
視点がコロコロ変わってしまうのが、自分で読み返してて気になりました…。

 

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