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Attach 2

「…銀次」
唇から離れて、そのまま耳元へもってかれた美堂くんの口から囁かれた名前。
…やっと『銀次』って呼んでくれたね…。

「…蛮、ちゃん…」
今なら、許してくれるよね?
蛮ちゃん、って呼んでも。

「…ゴメン、な…」
ぎゅ、と美堂くんに抱き締められる。
…あったかい。
美堂くんはよくオレのことを、子供体温であったけぇって言ってるけど。
美堂くんも十分あったかいよ…?

「なんで…謝るの…?」
「んでって…いきなり…乱暴にしちまったからよ…」
美堂くんは、本当に申し訳なさそうな顔だった。
…ほらね、美堂くんは優しいんだ。

「…嫌だったろ?お前、俺のこと嫌いだし…」
…ん?
「あの…美堂くん、さっきからそれを聞きたかったんだけど…何でオレが美堂くんのこと嫌いなの?」
そう。さっきから、それが不思議でならなかった。
美堂くんは何か誤解してるみたいだけど…
オレ、誤解されるようなことなんも言ってないよね…?

「…お前、俺がさっき『俺のことどう思ってる?』って聞こうとしたら…止めたじゃねェか」
…だから?視線で続きを促す。
「…すぐ答えらんねェから止めたんだろ…?」

「な…」
美堂くんの予想もしていなかった言葉に、思わず目を見開く。
オレが…美堂くんのことを嫌い?
そんなわけない…。むしろ、オレが美堂くんに嫌われてるんじゃないか、って…不安で…。

「美堂くん…それは、違うよ…」
気を抜いたら涙が溢れそうになって、きゅっと唇を結ぶ。
どう彼に伝えればいいの?
…好きだ、って言っていいの…?

「…どう違うんだよ…?」
いつまでも続きを言わないオレに焦れたのか、美堂くんが切羽詰まったような声で言った。

「――…好き、なの」
…あーぁ…言っちゃった…。
こんなこと言ったら、美堂くん気持ち悪がるに決まってるじゃん…。
泣きたくないのに、また涙でてきちゃった…。

「…ぅ」
ごめん、ごめんね、美堂くん。
オレに好かれたって…気持ち悪いよね。
男に好きだ、なんて言われたって…困るよね…。

何の反応もしない美堂くんの顔を見るのが怖くて俯く。
…沈黙が、痛い…。

「…っ、仕事、やろっか!ほら、トイレ出よ?」
手の甲でぐっと涙を拭いて、顔を上げる。
無理矢理笑ってるの、美堂くん気づいちゃうかな…。

美堂くんに壁に押し付けられているような形だから、彼が退いてくれないとオレもでれない。

「美堂…くん…?」
…失礼だけど。
美堂くんが、すっごい気の抜けた顔をしていて。
気の抜けたっていうか…ぼぉっとした顔?

「…だよ…」
「え…?」
「ンだよ…!俺はてっきり、お前に嫌われてんのかと…!」
はぁっと大きく息を吐きだす美堂くん。

「ちがうよ…!オレは、美堂くんが言いにくそうだったから…だから、お仕事終わってからじゃだめなのかなぁって思って…」
「そか…そっか…」
さっきまでぐっと眉を寄せていた美堂くんの表情が柔らかくなって、口元に少し笑みが浮かんだ。
それを見たら、なんだかオレもほっとして。

…よかった。美堂くんが、笑ってくれた…。

そこで、美堂くんがぐっと顔を近づけてきた。
―えっ…
間近にあるその整った顔に、不覚にもドキっとしてしまう…。
…うわ、たぶんオレ今顔真っ赤だ…。

「…好きだよ、銀次…」
「え…」
耳元でそっと囁かれた言葉に、頭が真っ白になる。
…好き…?美堂くんが、オレを…?

「会ったときから…気になってた。お前の笑顔が…俺を癒してくれてた…」
落ち着いた、耳に残る低く甘い声。
…あぁ、幸せって…こういうこと…?

「…何泣いてんだよ」
「…また…泣いてた?オレ…」
自分で泣いてたことに気づかなくって、美堂くんに言われてハッとする。
…オレ、今日どんだけ泣いてんの…。

「…ごめんな、泣かせてばっかで…」
苦笑、というか。
困ったような笑顔で、美堂くんが謝った。
…どうして美堂くんが謝るの…?オレが勝手に泣いてるだけなのに…。
…美堂くんは、優しいんだ。
美堂くんのおっきくて暖かい手が、オレの頬をなぞっていく。
…そっとその手に自分の手を重ね、握る。

「…美堂くん、大好き…」
自然に出てきたコトバ。それを繰り返し呟く。
何度言っても、この気持ちには足りなくて…。

「…俺も」
短く一言、そう言って、美堂くんはオレを胸の中に引き寄せた。

…ほんとに、あったかい…。
美堂くんの心みたいだね…。

「…さて、じゃぁ仕事すっか?」
さっきの柔らかい雰囲気から一転、いつもの意地悪そうな笑みを浮かべた美堂くん。
「仕事、終わったら…ホテルでも行くか」
なっ…!ここ、トイレ…!
「…美堂くん!」
うわ、オレ絶対さっきより顔赤いよ…。
自分で顔のあたりが火照ってるのがわかるっ…。

「ははっ、楽しみにしてるぜ?」
口元を歪めて本当に楽しそうに、オレの頭にぽん、と手を置いてトイレから出ようとする。
「あ、待ってよ美堂くん!」

今日からは、今までの仕事とは違うよね?
二人の心が、通ってるから…。
 

 

 

なんか…個人的に、この美堂さんはあんまり好きじゃないです←

何考えてるのかわからない…(ぇ    そして話が恥ずかしすぎる(笑)

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