貴方との生活。

 

 

「銀次ィ…オマエ、何欲しい?」
「…へ?…お金、かなぁ」
「あ、やっぱり?」
…コイツ。俺に似てきやがった。

――銀次の誕生日。

別に他の奴なら適当にそこらで買って適当に渡すんだが…いや、渡すどころか買わねェ。
だけど、銀次相手ではそうはいかない。何かあげてやりたい。

だから、銀次が欲しい物って何だ?と約一週間ほど前から考えてはいる、のだが…。

①菓子 ②金 ③可愛い女の子
…しか浮かばなかったのだ。
①は金さえあればいつでも買ってやれるし、②は無理だ。③は…やるわけねェだろ…。
即座に頭ン中から削除した。

アクセサリー系は?とも思ったのだが。
…銀次の場合、電撃を使うので金属系は危ないし。
プラスチック製だと、もし戦闘中などに壊れたら一番悲しむのは銀次だし。

つーことで、浮かんだものすべてが無理だった、ので。

本人に聞きました。
…でも。やっぱり、答えは金。
一番今の生活に必要なもので、一番どうにもならないものを言われてしまった。

…というよりも。
コイツは、今日が自分の誕生日だ、ということに気が付いているのだろうか?

そこン所が重要だ。
隣の助手席で、道端に落ちていた某キャンディーを舐めている銀次。

…ん?ヤバい、よからぬモノに見えてきた…。
銀次の舌の動きが妙にイヤらしくて…。
…違う、今はそうじゃない…!銀次の誕生日だ。自身を反応させている時ではない…!

もう一度、銀次に聞きなおす。
「…一番欲しいものは?」
「蛮ちゃんとの安定した暮らし」
…まぁ、そうなんだけどよ。

めずらしく辛口な事をいいながらも、『蛮ちゃんとの』というのが入っているのがまた可愛く感じてしまう。

それにしても、そうもはっきりと告げられてしまうと結構なダメージがあるのだ。
そんな滅多にない傷心な俺様をもろともせず。

「…お前、今日が何の日か知ってるか?」
「えー…と、4月の19日?それくらいはわかるよー?」
あぁ。ちゃんと日にちを言えたコトはえらいさ。
でも…でも!

「せめて自分のくらい覚えとけよ…」
小声で呟くことしかできなかった蛮は、ふと窓の外の景色を見てみた。
そんな中、思い出されるのは…この前の自分の誕生日。

自分がこの世に生まれた「呪われた日」を祝ってくれたこと。
こんな奴の誕生日なんかを、覚えていてくれたこと。
それが、何よりも嬉しかったのだ。
あの時のような幸せな気持ちを、銀次にもさせてやりたい。

ただそれだけなのに。
普段の生活の行いが悪い俺は、そんなことすらも上手くいかない。

――すると突然。
銀次が助手席からこっちへ身を乗り出して、番に抱きついた。
胸に顔を埋めるようにして、そっと囁く。

「…嘘だよ、蛮ちゃん。オレ、欲しいものなんてないよ…?」
蛮のシャツの裾を、きゅっと掴む。

「蛮ちゃんとこうやって一緒にいられる…。それが一番欲しいもので、持っているもので一番大切なモノなの…」

だから、欲しいモノはちゃんともらってるよ、と。
銀次はそう言う。
…だけど、蛮としてはやはり何かやりたいワケで。

「オレが欲しいのは蛮ちゃん…。もうもらってるよ…」
――十分。十分すぎるプレゼントだから。

「はぁ…お前なぁ…」
…誘ってんのかよ…?
そっと銀次の耳元へ口をよせ、擽るように囁く。
銀次が、耳が弱いコトは俺が一番知っている。

「ぁっ…う、ん…。…だめ…?」
胸元からのそりと顔を上げ、上目使いで見つめてくる琥珀色の瞳。
少し涙ぐんでいるようにも見える。

「…手加減、できねぇかんな…」
「いっぱいシて…?」

 

「やぁ、待って…!も、オレ無理ぃっ!んぁあっ!」
…蛮ちゃんを誘ってみたものの。
やっぱり、蛮ちゃんを煽るんじゃありませんでした…。

「何言ってんだ…。まだまだ足りねぇよ…」
…求めてくれるのは嬉しい、んだけど。
キモチにカラダがついていけないよぉっ…!

「ひぁあ…だめ、だめぇ…!」
ナカが怖いくらいに敏感になって、少し擦れるだけで…イきそうになってしまう。
何度もナカで吐き出された蛮の精液が、律動を繰り返すたびに結合部から溢れて…。

「うわ…エロ…」
「やぁあ…言わないでぇ…!」
…もう、他の人に見られるだろう、とか。
いくら夜だっていっても、街頭だってそこら中にあるし、人通りだって全くないわけじゃない。
だけど、それが気にならなくなっちゃうくらいに、激しく揺さぶられる。

「うぁっ、や…だめ、もぉイっちゃ…ぁ!」
一番弱い部分を、硬い先端で何度も突かれる。
誰よりも、オレのイイトコロを知っている彼。
支配されているような感覚が、とても気持ちいい…。

「いいぜ…一緒に、な…」
「んぁっ、ひぃ…!」
終わりを感じさせる言葉に連れて、早くなる突き上げ。

ありえないくらい深いトコロまで、彼が入り込んでくる…。もちろん苦しくもあるけど、それよりも快感の方が上回っている。

「ひ、ぅ…!やっ!あ、ぁああっ!」
「っ…銀、次…」
…ほぼ同じタイミング。
自身から欲を吐きだしたと同時に、奥深くまで熱いものが流れ込んでくる感覚…。
すごく、熱い…!

「ぁっ…あ…!」
「はっ…、最高…」
ぬるぬると、イった後の彼のがナカから出ていく。
そんな小さな動きにも、敏感に反応してしまう。

「…よし、ホテル行くぞ…。第2ラウンド続行だ」
「え…もっ、もう無理だよぉぉぉ!!」
今の時点で、気絶していないコトが奇跡に近いのに…!


…来年も、今日と同じことを言えてるといいな。
『蛮ちゃんとの生活』って。

――貴方からは、いつも大事なモノ、もらってるよ…。

 

 

 

いい題名が浮かばなかった…。
銀次誕生日おめでとう!

 

 

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