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「おはよう」「いただきます」「ごちそうさま」「いってきます」「またね」。
朝起きてから、学校に着くまで。その間、オレ達はずっと一緒。
でも、あたりまえなんだけど…彼の隣にいられない時間もいっぱいあって。
オレがいつもいるポジションに、蛮ちゃんの友達とかがいると、…なんだか変な気持ちになる。
とくに、女の子。
あ、女の子が嫌いだとか、そんなんじゃないよ?
むしろ可愛いから大好きだしね。……なんだけど。
蛮ちゃんの腕にひっついてたり、抱きついてたり。
そーんなところを見ちゃうと、結構複雑なワケで。
――ただの兄弟。しかも男同士。
…たまーにそれが、オレとしてはもどかしかったりするのです。
…それに気づいてない蛮ちゃんにも。
「おー、銀次。オハヨ」
「おはよー!」
教室に入れば、すぐに声をかけてくれる友達。
皆優しいし、一緒に居てとっても楽しい。
なかにはちょっと変わった人もいるけど…、大半はイイ人。
だから、クラスでの生活にとくに不満はない。
逆に、恵まれてるなぁって思うくらい。
…でも、さみしい。
蛮ちゃんがいてくんないと。
胸にぽっかり穴が開いたみたいで、すーすーする。
こんなキモチ、他の人から見ればおかしいかもしれない。
イイ年して、オニーチャンが傍にいてくんないとさびしい、なんて。
でもさぁ。ちっちゃい時からずーっと隣にいてくれて、優しい蛮ちゃん。
…そんな彼を好きになるなって言う方が、ムズかしいでしょ?
高校に入学したばっかりの時は、蛮ちゃんが毎日オレの教室に来てくれた。
もちろんオレも蛮ちゃんと会って話せて嬉しい。
…しかし。
蛮ちゃんは容姿は完璧だから、一年生の女子にすっごく注目されちゃったのです。
運動会の時なんて、そりゃぁすごいことになった。
蛮ちゃんがでる競技となると、女の子達の声援や悲鳴がそこらを飛びまくって、アナウンスが聞こえないほど。
途中蛮ちゃんがキレて、
「うるせぇぞコラァ!!黙ってろや!!」
って叫んだけど、女の子達はそれにもめげずにはしゃいでいたのです。
そんな様子を見たオレは。
他の可愛い子たちに、蛮ちゃんをとられるのが怖くなった。
自分も会えなくなるのはイヤだけど…。
他の人にとられちゃうのよりは、全然マシだから。
蛮ちゃんに、もうこないでいいよ、って言った。
蛮ちゃんも色々と忙しいだろうし、毎日来てもらってなんだか申し訳ないから、だとか。
メチャクチャな理由を押し付けた。
…そんな嘘にも蛮ちゃんはすぐに微笑んでくれた。
「そんなすまなそうな顔すんな、銀次」
そう言って、頭をポン、と叩いて帰って行った。
…それから、蛮ちゃんは教室にこなくなった。
自分から言ったクセに、学校で中々会えないのが寂しくて寂しくて。
どうしようもなくて、…オレは色々と頑張っています。
…移動教室のとき、遠回りになってでも蛮ちゃんのクラスの所を歩いたり。
逆に蛮ちゃんのクラスが移動で、オレの教室の前を通る時には、中にいないで廊下にでてきたり。
忘れ物をしたとき、わざわざ蛮ちゃんのところに借りに行ったり。
蛮ちゃんが体育のときは、ひたすら目で追って視線で気付かせようとしたり。
食堂で席を選ぶ時は、いつも蛮ちゃんが座っている辺りの近くを選んだり。
…ほんっとーに色々努力してます。
余計な体力を使って疲れちゃうことも度々あるんだけど、蛮ちゃんに会うためなら…
こんなのどうってことない。
それにそういう日には、家に帰ると蛮ちゃんがオレのことをいつも以上に心配してくれるし。
そんな些細なことでも、オレにとっては幸せなのです。
さてと、次は待ちに待った移動教室。
…あ、音楽室だから蛮ちゃんのところ通るや!良かったぁv
んぁっ?蛮ちゃん発見!
あれ…こっちにスタスタ歩いてくる。
「ぎーんじ!」
…うわ、どうしよう。
結構距離があったのに、遠くからでも気づいてくれた。
…すっごい嬉しい…。
「蛮ちゃん!」
すぐに彼の元へ走っていって、胸に飛びつく。
「蛮ちゃん大好きー!」
「なんじゃそりゃ…」
「ほんとだよー!」
あーもう。蛮ちゃんが好きすぎるよ。
…この気持ち、いつ伝えられるかな?
いや、いつも大好きだとか連発してるんだけどね?
なんか信じてもらえてない感じがするからさ。
――今はまだ、偶然を装って蛮ちゃんに近づく。
……それだけで、精一杯なのです。
この話では、美堂さんも銀次のことが好きなのです。両片思いとかパロとか大好きです。
お題