Birth 4

 

「蛮ちゃん…」

いい、の?
だって蛮ちゃん子供嫌いじゃない。
オレの視線だけでわかったのか、

「…お前とのガキは別だ…昨日も言ったろ…?」
と言った。

「蛮ちゃぁんっ…!」
がば、と蛮ちゃんに抱きつく。


「銀次……」
蛮ちゃんがオレの頭を撫ぜる。
こうされると、いつもほっとする…。
蛮ちゃんが、オレだけの蛮ちゃんになってくれたような気がして…。
こんなオレ知ったら、蛮ちゃん嫌いになっちゃうかな…?
蛮ちゃんに嫌われるのは、誰よりも痛いよ…。


だけどそんな不安をかき消してくれるように、蛮ちゃんがオレの名前を呼んでくれる。


「銀次、銀次…」
なんで蛮ちゃんはオレをこんなにも安心させてくれるんだろう…

たぶんそれは、蛮ちゃんだから。

オレにとって、蛮ちゃんは特別だから…。

「蛮ちゃん…子供、頑張って育てようね…」
悲しい気持ちをさせないように。

「あぁ……」


今こうして銀次と抱き合ってる最中にも、間で双子(?)は眠っている。

つか、たぶん双子なんだろーな…
表情がよく似ている。

俺と銀次の特徴を半々でその表情に宿している。

「銀次…名前、どーする?」
名前を決めなければ何も始まらない。
産んではいないが、たぶん産んだのは銀次だから。
俺が勝手に決めるわけにはいかない。

「えっと…名前…蛮ちゃん、は…?」
「オレ?……こっちの金髪のヤツ…『琥珀』、とか…?」
銀次の瞳の色。
俺は銀次の瞳に、存在に何度も助けられた。だから、琥珀。

「コハク…うんっ、カッコいい!じゃぁこっちの子は『琥珀』ね!」
ぱっ、と銀次が笑顔になる。
その笑顔を見ると自然と俺も微笑んでしまう…。

「んじゃ、お前こっちの黒髪の名前決めろよ」
銀次似のヤツは俺が決めたから。
俺似のヤツは銀次に決めてほしい。

「…し、えん…」
ぽそ、と銀次が呟く。

「シエン?」
漢字はわからないが、その名を繰り返す。
「うん…えっと、字はね…んと…紫に、炎…で、紫炎がいいなぁ…」
「紫炎…」

紫…まさか、俺の瞳の色…?

「意味は…?」
もしや、と期待を隠しきれずに銀次に問う。

「えっとね、紫っていうのは蛮ちゃんの瞳の色っ!
炎は、…蛮ちゃんの瞳は、燃えるように綺麗だから…だから紫炎っ!」

嬉しそうにそう答える。
なぜこいつはこんなにも俺を喜ばすことばっか言うんだ…

愛しすぎて、銀次の背中に回した腕に力を込める。


「蛮ちゃん…?嫌、だった…?」

嫌…?んなワケねーだろーが…


「嫌じゃねェよ…『紫炎』…いいんじゃん、カッケェじゃん」
少し身体を離し、こつ、と軽く額を合わせる。


目の前に見える琥珀色の瞳。
そしてその瞳に移る紫の俺の瞳。


「『琥珀』と『紫炎』、いい名前だ…」

そっと、唇を重ねる。

「ふっ…ぁ、ん…」
銀次の唇から甘い吐息が漏れる。
これ以上したら欲に火がつく、と思いながらも止められない。

「銀次…」
そのまま先に進もうとした時。

 

「「ママぁ…パパぁ…」」

俺らの下の方から聞こえる、高い幼い二人の声。

「…目、覚めたみてェだな」
「うん…」

下から俺らを見つめる二人のコドモ。

「琥珀…紫炎…オハヨ」
にこ、と銀次が微笑み、二人を俺らと同じ位置に持ってくる。

琥珀が俺を見つめ、紫炎が銀次を見つめている。

銀次と同じく、瞳がデカい。
そして、琥珀色の瞳。

かわ、いい。

は初めてガキを可愛いと思った。
というか、可愛いと今までに思ったのは銀次とコイツらだけだ。


育児と言う名のいばらの道は、ここから始まる。

 

 

育児…大変ですよね(何 
生まれた(?)子供は、3.4歳くらいでお願いします。

 

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