「蛮ちゃん…」
いい、の?
だって蛮ちゃん子供嫌いじゃない。
オレの視線だけでわかったのか、
「…お前とのガキは別だ…昨日も言ったろ…?」
と言った。
「蛮ちゃぁんっ…!」
がば、と蛮ちゃんに抱きつく。
「銀次……」
蛮ちゃんがオレの頭を撫ぜる。
こうされると、いつもほっとする…。
蛮ちゃんが、オレだけの蛮ちゃんになってくれたような気がして…。
こんなオレ知ったら、蛮ちゃん嫌いになっちゃうかな…?
蛮ちゃんに嫌われるのは、誰よりも痛いよ…。
だけどそんな不安をかき消してくれるように、蛮ちゃんがオレの名前を呼んでくれる。
「銀次、銀次…」
なんで蛮ちゃんはオレをこんなにも安心させてくれるんだろう…
たぶんそれは、蛮ちゃんだから。
オレにとって、蛮ちゃんは特別だから…。
「蛮ちゃん…子供、頑張って育てようね…」
悲しい気持ちをさせないように。
「あぁ……」
今こうして銀次と抱き合ってる最中にも、間で双子(?)は眠っている。
つか、たぶん双子なんだろーな…
表情がよく似ている。
俺と銀次の特徴を半々でその表情に宿している。
「銀次…名前、どーする?」
名前を決めなければ何も始まらない。
産んではいないが、たぶん産んだのは銀次だから。
俺が勝手に決めるわけにはいかない。
「えっと…名前…蛮ちゃん、は…?」
「オレ?……こっちの金髪のヤツ…『琥珀』、とか…?」
銀次の瞳の色。
俺は銀次の瞳に、存在に何度も助けられた。だから、琥珀。
「コハク…うんっ、カッコいい!じゃぁこっちの子は『琥珀』ね!」
ぱっ、と銀次が笑顔になる。
その笑顔を見ると自然と俺も微笑んでしまう…。
「んじゃ、お前こっちの黒髪の名前決めろよ」
銀次似のヤツは俺が決めたから。
俺似のヤツは銀次に決めてほしい。
「…し、えん…」
ぽそ、と銀次が呟く。
「シエン?」
漢字はわからないが、その名を繰り返す。
「うん…えっと、字はね…んと…紫に、炎…で、紫炎がいいなぁ…」
「紫炎…」
紫…まさか、俺の瞳の色…?
「意味は…?」
もしや、と期待を隠しきれずに銀次に問う。
「えっとね、紫っていうのは蛮ちゃんの瞳の色っ!
炎は、…蛮ちゃんの瞳は、燃えるように綺麗だから…だから紫炎っ!」
嬉しそうにそう答える。
なぜこいつはこんなにも俺を喜ばすことばっか言うんだ…
愛しすぎて、銀次の背中に回した腕に力を込める。
「蛮ちゃん…?嫌、だった…?」
嫌…?んなワケねーだろーが…
「嫌じゃねェよ…『紫炎』…いいんじゃん、カッケェじゃん」
少し身体を離し、こつ、と軽く額を合わせる。
目の前に見える琥珀色の瞳。
そしてその瞳に移る紫の俺の瞳。
「『琥珀』と『紫炎』、いい名前だ…」
そっと、唇を重ねる。
「ふっ…ぁ、ん…」
銀次の唇から甘い吐息が漏れる。
これ以上したら欲に火がつく、と思いながらも止められない。
「銀次…」
そのまま先に進もうとした時。
「「ママぁ…パパぁ…」」
俺らの下の方から聞こえる、高い幼い二人の声。
「…目、覚めたみてェだな」
「うん…」
下から俺らを見つめる二人のコドモ。
「琥珀…紫炎…オハヨ」
にこ、と銀次が微笑み、二人を俺らと同じ位置に持ってくる。
琥珀が俺を見つめ、紫炎が銀次を見つめている。
銀次と同じく、瞳がデカい。
そして、琥珀色の瞳。
かわ、いい。
は初めてガキを可愛いと思った。
というか、可愛いと今までに思ったのは銀次とコイツらだけだ。
育児と言う名のいばらの道は、ここから始まる。
育児…大変ですよね(何
生まれた(?)子供は、3.4歳くらいでお願いします。
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