dazzling

 

「……雷帝?」
「んぁ…雨流!よかった…探してたんだよっ」
「オレをか?」
「そう!」


(オレには、眩しすぎるよ)
(君の その優しさが)
(穏やかな 笑顔が)

 

「…で、何故オレを探していたんだ?」
「えっとね!十兵衛がね、雨流がいないー!!ってなってね、無限城を飛んでっちゃったの!」

…………。

「…悪い雷帝…、もう一度説明をしてもらってもいいか?」
「うん!十兵衛がびゅーって飛んでっちゃったんだ!」

…さっきよりも言葉がさらに抜けているような気がするのはオレだけなのか。

必死で雷帝の説明を頭の中で整理していると…、
雷帝の頭をごつん、と後ろから殴る男の姿が目に入った。

――美堂蛮。

オレは特に奴が嫌いなわけではないが、…その…なぁ。
悲しい思い出があるので妙な感じだ。
といっても、それによってオレは命を救われたのだから何とも言えない。

「お前なぁ…、その説明の仕方できちんと状況がわかるのはたぶんこの世で俺だけだぞ」
…何気に台詞の中に己の愛情を込めながら言った奴は、言い終わるとこちらをチラッと見た。

「おぉ…遠当てヤロウ、悪かったな、今から銀次の通訳するからよ」
「通訳!?通訳なんていらないよー蛮ちゃん!オレ日本語喋ってるんだよ!?」
「その前にお前は日本語しか話せねェだろうが」

「…お言葉に甘えて、通訳を頼みたいんだが」
「おう…そうだったな」
未だに隣できゃんきゃん抗議している雷帝をよそに、美堂はスラスラと筧の状況を説明していった。

…ようするに。
ちょっと散歩に出かけた間に、筧はオレの所へきたらしく。
その時オレはもちろん部屋にいなかったため、無限城を探しまわったものの…。

『雨流が居ない…!!』
ということになって、無限城を凄い勢いで飛び出して行ったらしい。

…雷帝よ、急いでいる時のアンタにはやはり通訳が必要らしい…。

「そうか…。悪かった、わざわざ」
「ううん!全然大丈夫だよー!それよりさ…雨流、すごく十兵衛に愛されてるんだね!」

――ブフッ!!

天使の笑みでかました銀次に、蛮と俊樹が吹いた。
あっ…愛され…!?

「な…何を言っているんだ雷帝…」
「銀次…お前なぁ、」
「だってぇ!ちょっと雨流がいなくなっただけであーんなに焦ってるんだよ?すごいよ!」

二人の呆れたような口調にちょっと眉を寄せながら話す。
銀次はまったく悪気はないのだが…、というより、悪気どころか「いいなぁ雨流!」という感じだ。

「…ゴホッ、雷帝…恥ずかしいのでそれくらいにしてくれないか…?」
「え?えっ?」
「ったく!用件伝えたんなら帰んぞ銀次!」

疑問符を飛ばしたまんまの銀次を引きずって、蛮はその場を後にした。
…と、その前に。

「あー…、遠当てヤロウよ、早めにサムライ君んとこ帰ってやれや」
「あぁ…わかった…。すまなかったな」
「じゃあね、雨流!十兵衛によろしくー!」

最後に、銀次に聞こえないように一つ…蛮が囁いた。


「…お前も銀次と同じで受けだからわかんねぇんだろうケド…、攻め側も結構不安定なんだぜ?」
「なッ…!!美堂!!」


さらば遠当てクン!と後ろに手を振りながら、蛮と銀次は帰っていった。
…その場に残るのは、顔を真っ赤にした雨流だけ。

「…受けとか攻めとか…あの男は…!」
少々愚痴りながらも、そろそろ無現城へ戻るか…と思った頃。
覚えのある気配が、猛スピードで近づいてきた。

そしてそのまま、止まらずに雨流へ激突。

「うわっ……、筧!」
「雨流!お前…今までドコに行っていたのだ!俺に一言も云わずに…!」

本当に心配そうに。
キツく抱きしめられながら、雨流は「…温かいな」と。

「…悪かったな、筧」
「まったく…、心配かけおって…」

ただ少し散歩に行っていただけなんだ、と説明して。
今度からは、きちんと言うから…と。

すると、筧はこう言うのだ。

「何を言っている、雨流。…今度からは…一緒に、だろう?」
――優しく、そう笑って。


俺には…少し眩しすぎるな、と。
目を細めながら。

これから、少しでも慣れて行けたら…だなんて。
ガラでもないことを思ってしまった。
 

 

 

 

初めての十俊。蛮銀の次に好きなCPです。蛮銀とは正反対な感じが好き。

 

 

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