「やっ…、蛮、ちゃ…!」
どうしよう。
どうしよう。
蛮ちゃんが、おかしくなっちゃった。
「やめてっ…蛮ちゃん…!!」
――こわいよ。
いつもオレが怖い時には…助けてくれたよね?
ビリッ…と、シャツが左右に破られる音。
それと同時に現れる、銀次の白い胸。
「んぁっ…!」
噛みつくように、胸を弄られる。
…正直、キツくされすぎて痛いくらい。
――やだ、やだよ。
こんな…無理矢理なんて。
蛮ちゃん、いっつもすごく…優しくしてくれたじゃん…!
なにも言わずに、ただ銀次を追い詰める蛮。
銀次の胸の飾りを自分の唾液でたっぷり濡らせたあと…、下着へと手をさしこんだ。
「っ…蛮ちゃん!!やだよぉお…、こんなのやだぁあ!!」
かなしくて、かなしくて。
気付いたら、叫んでた。
蛮ちゃんなら、オレのホントの気持ちにわかってくれるよね?
オレがピンチのときには…いつも、助けてくれてたもんね。
銀次が泣き叫ぶと、僅かに蛮の動きが止まって。
それに安心したと同時に…銀次は静かに泣いていた。
――やめてくれた。
蛮ちゃん、わかってくれた。
ゆるゆると、両腕を抑えていた蛮の力が抜けていく。
――蛮ちゃんに抱かれたくないわけじゃないよ…?
…だって、蛮ちゃん大好きだから。
大好きなひとに愛されるのは…すごく、しあわせなことだよね…。
だから、オレだって蛮ちゃんと…そういうこと、するの。
ほんとは、好きなの。
少しずつ銀次から離れていく蛮の身体。
それが嫌で…銀次は、蛮に抱きついた。
「ばんちゃん…蛮ちゃん…。大好きだよ…?」
「………銀次」
――やっと、蛮ちゃんがしゃべってくれた。
蛮ちゃんの声を聞くだけで…こんなに安心できる。
「ね、蛮ちゃん…、さっき…どうしたの…?なにかあったの…?」
彼があんな風になるのには、絶対理由がある。…と思うから。
蛮の胸に顔を埋めたまま訪ねた。
「俺…は…、お前になにを…」
「蛮ちゃん…?」
きつく銀次を抱きしめながら、蛮は自分のしたことを…すぐには信じられなかった。
めちゃくちゃに裂かれたシャツ。
銀次の頬にある、涙の流れた痕。
ベッドに押し倒した銀次の身体。
…どう考えても、無理矢理だ。
――銀次をこんなことにしたときの記憶がない。
そこだけすっぽり抜けているのだ。
外から家に帰ってきて、銀次が玄関まで迎えに来てくれて。
すると急に頭が痛くなって…、立てなくなって蹲ってしまった。
そのときに心配そうな顔をした銀次が駆け寄ってきたところまでは覚えている。
…それ以降、まったくわからないのだ。
「……ジャッカル」
「え…?」
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