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電話の向こうから聞こえてきたのは、大好きな人の声。
『ぎーんじ?今ドコで泣いてンだよ?』
「……」
蛮ちゃん、…とすぐに言いたかった。
けど、蛮の声を聞いた途端に…さっきの女の子が浮かんできて。
『おい銀次?……ぎーんじ…』
優しく諭すような声。
…今は、そんな声で名前を呼ばないでほしい。
「………」
――そして、何を考えたのか、オレは。
…蛮ちゃんからの連絡を切ってしまいました。
「…うう…ごめんなさい蛮ちゃん…。でもね、今は…」
…そんな優しく言われたら、また泣きそうになっちゃう。
正直、あれは蛮の不可抗力だったと頭の中ではわかっている。
蛮は女生徒からモテるから、どうせ向こうから迫られたのだろう…と。
それに、蛮は銀次を裏切るようなことはしない…と、信じているから。
「蛮ちゃぁん…」
「ンだよ?ひっでぇな、銀次クンは…」
………え?
「電話ブチ切ったクセによー。俺に会いたかったんだろ?」
――だったら素直に言えばよかったのに、と。
頭上から聞こえてくる、…その声に。
うつむいていた顔をばっと上げた。
「……蛮ちゃん」
「おうよ。……やっぱり泣いてた」
言葉と同時に、後ろから抱きしめられて。
蛮のいつも吸っている煙草の香りが漂ってくる。
銀次の肩に、こつん…と顎を乗せられているのがわかる。
「……ごめんな。あれは俺が隙見せちまったから…。弥勒には言っといた」
「蛮ちゃ…」
…耳元に息がかかるっ…。
それに、そんな近くで…低く喋らないでほしい…!
「……銀次」
「ゃ…!」
――くちゅ。
小さな水音を発して、首筋に甘咬された。
蛮の舌がすごく熱くて…背筋がゾクゾクとした。
…こんなところで、って思うのに。
彼の体温をすぐ傍に感じられることが、素直に嬉しくて。
首に巻きつくように回されている両腕に、縋るように手を添えた。
「…蛮、ちゃん…」
「ん…?…言っとくがな、銀次」
「なぁに…?ぁ、ひゃん…!」
首筋にあてられていた唇が、耳たぶに押し付けられて。
…大好きなひとに、こんな甘い台詞言われてオちない人は…いないと思うのです。
――俺が愛してんのは、テメェだけだ…。
…お前しか欲しくない。お前だけが欲しい…。
「ふぇ…っ、蛮ちゃぁん…!」
嬉しいのと、恥ずかしいのと。
色々、全部が混ざって、また泣いてしまった。
蛮ちゃんを疑った自分がイヤで嫌で、少し前のオレのバカぁあ…なんて思って。
「ほら…泣くなって…」
蛮ちゃんの指が、そっと涙を拭ってくれた。
…その指が離れてしまう前に、ぎゅ…と握って。
「蛮ちゃん…ばんちゃん…、ごめんね…だいすきぃ…」
…言いたいこと、いっぱいあるのに。
蛮ちゃんがやさしいから…。
「…いいって…お前が謝んな…」
「だって…だってぇえ…」
よくないよ…。
ココロの中で、たくさんひどいこと言っちゃったんだよ、オレ。
勝手に勘違いして、わかってるくせに…哀しくて。
「んー…じゃぁ、一つ頼みごとがあんだけど」
「たのみ…?なんでも聞くよ、おれっ…」
後ろに振り返って、蛮ちゃんの瞳を見つめた。
綺麗な紫紺が暖かい光を放っていて…。
「――お前が欲しい」
…少し、切ない顔をした。
その意味が…オレにはちょっとわからなかったけど。
「…なに言ってるの…?」
「…悪い、やっぱなんでも…」
「違う!」
「…銀次?」
ちがうよ、蛮ちゃん。
オレがいいたいのは…。
「オレは…とっくに、全部蛮ちゃんのモノだよ…?」
貴方に出逢って、恋に落ちた時から。
オレは全部、蛮ちゃんのものなんだよ…?
「…銀次…!」
今度は正面から、キツく抱きしめられて。
ちょっと痛いけど…嬉しい気持ちの方がおっきいから。
「…えへへ、蛮ちゃんだいすき…」
「……俺も」
…だけど、オレに告げられた悪魔の宣告。
「…今日、金曜だよな?」
「?うん、そうだよ」
「…明日休みだよなぁ…。創立記念日で」
「……ハイ」
「…お楽しみだなぁ、銀次」
「…いやぁぁあああ!!」
――そのまま、蛮ちゃん家にお持ち帰りされちゃったのは…
また別のお話なのです。
「あら、雪彦」
「綺羅々姉さん…」
「もーひどいわよぉ。私は美堂センセイより銀次クンの方がいいって言ってるのに!」
「あの…姉さん?目的が違…」
「確かに顔はいいわよ、美堂センセイ。けどキャラが銀次クンの方が可愛いのよねー」
「いやだから姉さん…」
「無駄だ雪彦…」
「…そうだね、兄さん…」
「っくしゅ!」
「ん、風邪か?銀次」
「いや…違うと思う…」
「……一晩中ハダカだったからか」
「ちがぁぁああう!!」
「おかしーな…ずっとくっついてたんだけど…」
「もう黙ってください…!」
やっとUPできました、続き。学パロは色々できて楽しいです。また書きたいなvV
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