蛮ちゃんは、カッコいい。
お仕事してるときも、コーヒーを飲んでるときも、寝てるときだって。
本を読んでる時も、その…あれ、のときだって。
優しく笑ってくれるときも…すごく…カッコいいの。
蛮ちゃんは寝る前、オレには全っ然わからないような本を読んでいるのです。
いつもの邪眼防止用のサングラスじゃなくて、普通の黒ブチ眼鏡を掛けて。
お風呂に入った後だから、ツンツン頭もサラサラの髪の毛ですごくキレイなのです。
それはほぼ毎日のことなのに、オレは毎回…見惚れてしまう。
だってだって!すっごく綺麗なんだよ!?
女の人みたいな『綺麗』じゃなくて、男らしいのに『綺麗』なの。
蛮ちゃんは男の人にしては細い体つきだけど、意外とそうでもないのです。
結構筋肉だってついてるし、なんていったって握力200kgですから!
体力だって半端ないし……いえ、別にやらしー話じゃないですよ!?
た、たしかにすごいスタミナですけど……。
それは置いといて。
とにかく、蛮ちゃんはカッコいいのです!
…ぁ、今の…。
今の、前髪をあげた仕草…。
や、やばい…。
心臓がきゅぅってなっちゃって。
顔がどんどん熱くなってってるのがわかる。
「あ、わわ…」
ぺちぺちと自分のほっぺを叩いてみる。
それでちょっとだけ熱くなくなってような気もするけど、
ちらっと蛮ちゃんの方を見てしまえば…また火照っちゃう。
「銀次?」
びくん!
ばっと顔を上げると、薄いレンズ越しに蛮ちゃんがオレを見ていた。
紫色の、いつも蛮ちゃんの瞳を隠してしまうものが今はない。
「あっ、ううん!なんでも…ないの…」
「……」
なんだかすごく気恥かしくて、言い終わる前に視線を反らしてしまって…。
蛮ちゃんがどういう顔をしているかはわからないけど…なんとなく、笑われてる…ような。
ククッ、と喉でくぐもった笑い声が聞こえた。
どちらも何も言わない空気の中に、ぱたん…と静かな音が響いて。
なに…?と思った瞬間。
――背中には、ベッドの柔らかなクッション。
両腕は…蛮ちゃんの右手に抑えられて。
足の間には、蛮ちゃんのカラダ。
唇は…蛮ちゃんの口で塞がれていた。
「んっ…!ふぁ、んぅ…」
「…銀次ィ…」
「ぁっ…!」
や、やだ…!
そんなっ、耳元で…甘い声で…囁かないでよぉ…!
「…どーした?…あんなに熱烈にオレのこと見つめちゃって…」
「っ…!」
…からかうような声色。
恥ずかしくて、どうしようもなくて…。
できることなら、このままタレちゃいたかった…。
でも、ここでタレちゃったら…ギューって抱きしめられて、逃げることなんて不可能になっちゃう。
…タレなくても、逃げられそうにないけど。
「…あの、ね」
「ん…?」
ぽつりと口を開けば、優しく続きを促してくれた。
心なしか…腕を抑える力も弱くなっているような気がする。
「ばんちゃ…が、すごく…カッコよくてね…」
「…おう」
空いた左手で、ほっぺを撫でられる。
くすぐったくて、甘くて。
「すごく、すっごく……好きだなって……」
「……うん」
「思ったらね…。ずっと見ちゃってたの…」
――う、うわぁ…。
言っちゃった……言っちゃったよ、オレってばぁあ…!
顔、隠したい…けど。
両腕、抑えられちゃってるし…。
逃げたい、…けど。
捕まえてて欲しいよ…、蛮ちゃん……。
「……ずっと見てろよ…、オレのことだけ」
「え…?」
「ずっと、オレのことだけ見てろ…」
――他のヤツなんて、見なくていい…。
つか、見させねぇし。
そう言って、蛮ちゃんは笑った。
そして、もう一度、キスをして。
そのまま、『オレのモンだ』…って言うように。
オレの全身に、蛮ちゃんのシルシをつけてくれた。
――…もちろん。
シてる間の蛮ちゃんも…カッコよかったのです。
甘っ…(吐血
最近蛮→銀みたいな蛮銀が多かったので、今回は蛮ちゃん大好き!な銀次でv
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