欲しいものはひとつだけ。2

 

 


「おはようっ!お誕生日おめでとう蛮ちゃんっ!」

「あぁ…サンキュ」

――朝、銀次が目覚めての第一声。
…正直に、嬉しいと感じる。
しかしそれと同時に…なんというか、気まずさ。
今日の夜、一体どうなるのだろう…という、自分でもわからない不安。
オレの行動次第で全ては決まる。
そして、最悪の場合。
…オレ達のこれからも…変わってしまうだろう。

「…蛮ちゃん…?」
「…銀次…。悪ィ、ボーッとしちまったな」

心配そうにオレを見上げている銀次を、そっと撫でる。
それだけで嬉しそうに笑う銀次は…オレのことを、どう思っているのだろうか…。

 

***

 

結局、どこに行くこともなく。
時刻は午後7時。
オレらはスバルの中で、ずっと他愛ない話をしていた。
…記念日、だからだろうか。
今まであったこととか…去年の誕生日だとか。
なんとなく、今日までを振り返るような会話だった。

…その中で、気付いてしまった。
銀次は…オレの話しかしないのだ。
猿回しやら、糸巻きやら。
コイツの周りには、たくさんの人がいるというのに。
…オレの話しかしなかった。
それも、全て…幸せそうな笑顔を浮かべながら。

あぁ…オレは、やっぱり…銀次が好きだ。
銀次がオレに言う、「大好き」がオレとは違う意味だとしても。
…それでも、「好き」という気持ちには勝てなかった。

もし、銀次に受け入れてもらえなかったとしても。
それでもいい…と思ってしまったのだ。
それならば、銀次にオレの思う「好き」になってもらえばいい、と。
…愛してもらえばいい、と。

 


「あのときね、オレほんとに…」
「…銀次」
「…?なぁに…?」

楽しそうに、ある時にこなした依頼の話をする銀次。
それを、遮って。

腹の辺りで組まれていた銀次の手に、オレの手を重ねた。
その手は、とてもあったかくて。

「…オレさ…欲しいモンがあんの」
「なに…?オレがあげられるものだったら…」

きっと、オレが頼みごとをしたのが嬉しかったのだろう。
銀次は、優しげに笑った。

…お前にしか…できねェんだ。
お前にしか、オレは満たせない。

 

「…銀次が好き」

「ぇ…?」

「…お前が…欲しいんだ…」

「蛮、ちゃ…」

「初めて、何かを欲しいと思ったんだ…」

「…ばん、」

「お前だけが…欲しい…」

 

目を大きく開いて、驚く銀次に。
考えさせる暇もないくらいに、言葉を紡いだ。
まるで、溢れるように口から零れてしまったのだ。


「銀次ィ……」

「ぁ…!」


驚いたまま、動かない銀次を強く抱きよせて。
…腕の中に、閉じ込めた。

 

「ほん、と…?」
「…なにが」

「オレの、こと…欲しいって…ほんと…?」
「…本当だよ」

――お前だけがいてくれればいい。

 

そう、耳元で囁いた。

 


「………!」

――ドクン、と心臓が鳴ったのがわかった。


…銀次の手が…背に回されたのだ。
小さくて温かい手が、オレを抱きしめた。


「銀次…」

「オレも、ね……。蛮ちゃんだけが欲しいよ…」

…他はなにもいらないから…。


砂糖を溶かしたような、その声で。
そんなコトを言われてしまっては……、男として、我慢は無理だった。

 


**

 

 

「ぁ、ああん…!」
「銀次ッ…!!」

――熱い。
銀次のカラダも、オレのカラダも。
汗が流れては、肌を滑っていく。
そしてなによりも…。


「銀次ン中…、すっげ熱い……」
「ゃ、あ…!言わな、でぇっ…」

…羞恥と快感に悶える銀次は…本当に可愛くて。
ふるふると首を振りながら、ナカのオレをきゅっ…と締め付ける。
ギリギリの所で、絶頂を抑えて。

「っ…これ以上…煽ンなって…!」
「ふぁああ…!!んっ、ぁあ、あん…!」

仕返し、とでも言うように、キツいナカを強引に掻き分けた。
白い喉を曝け出して、しなやかに身体を反らせる銀次を…抱きしめて。

――ぐちゅ、ずぷっ…!

「ぁああ…!!だめっ、イっちゃう…!やぁぁぁあ…!!」

「銀ッ……次ィ…!!」


頭が真っ白になる感覚が、とても気持ち良かった。

 

 

**

 


「…んぁ…?」
「…目、覚めたか?」

――…ヘヴンにもらった、ラブホのチケット。
それをありがたーく、使わせてもらいましたとも。

オレと銀次は、抱きしめあった後。
ヘヴンにチケットもらったんだけど…と切り出して、
ラブホへとスバルを走らせた。

いやぁ…移動中のあの銀次の初々しい表情はなんとも可愛……。
じゃなくて、銀次はオレの気持ちも、…カラダも。
両方受け止めてくれたのだ。

…こんなに嬉しいプレゼントをもらったのは、初めてだった。

 

 

 

 

-end-

 

いらないオマケ。


***

「ぁッ…」
「…出てきた?」

「ぁ、やぁ…!んぅ、変な、感じ…ぃ…」
「よっしゃ…。んじゃ、カラダ洗い流すか?」

「お、オレ…。どうやってやるか…わかんないよ…」
「…心配すんな、元から一緒に入るつもりだから」

 

 

 


美堂さん誕生日おめでとうっ!
やっぱりね、銀次がプレゼントが一番美堂さん的に喜ぶんじゃないかと!
いつまでもお幸せに…ですvv

12月いっぱい、お持ち帰りフリーにしたいと思います^ω^
いや…こんなエロ小説持って帰るモノ好きな方はいらっしゃらないと思いますが…;
と、とりあえず!とりあえずですよ!(泣
ご報告は任意です。もしお知らせしてくださったら泣いて喜びます(笑)

 

 

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