Love or Work?

 

 


――やっぱり…嫌だ…よぉ…。

ばん、ちゃぁん…。

 

 

―LOVE or WORK?

 

 

「んで、蛮クンを一晩借りたいのよ」
「…嫌だね」
「報酬が500万でも?あらそう、じゃぁ士度クンにでも…」
「やる!!やるぜヘヴン!!」


…オレは、こんな会話を何回見てきただろう。
それでも、今までのオレの中で…今の気持ちは、一番最悪だ…。

 

今回の依頼は、…凄く嫌なモノだった。
依頼主は、女性。

『彼に奪われた私の心を、奪り還して欲しい』…と。

『彼』というのは、依頼主の女性の元恋人のことらしくて…。
2年前に別れたんだけど、どうしても忘れられなくて。
『過去』に囚われたままで、『現在』に戻れない。
だから、彼に奪われたままの心を、奪い還して欲しい。

オレは、その話を聞いた時…一度聞いただけではよくわからなかった。
けど、蛮ちゃんの顔を見て…よくないことなんだな、って。

蛮ちゃんは、言った。


「『心』と『カラダ』は別だろう?
『カラダ』だけの快感を貰ったって、『心』が癒されるわけじゃない。
あんたは寂しいだけなんだろう?
…その寂しさは、セックスじゃぁ埋められるモンじゃぁねぇよ」


――…あぁ、そういうことか。
この女の人は…心の寂しさを、カラダで埋めたいんだ…。

『寂しい』んだ…。

その時、オレにもちょぴっと理解できた。
要するに…その、蛮ちゃんがいつもオレにしてくれることを…
この女の人はシてもらいたい、ってコトでしょう?

…やだよ。

蛮ちゃんが、オレ以外の人とそんなことするなんて…絶対いや。
でも…『寂しさ』は、なかなか埋められない。
…紛らすことはできたとしても。

きっと、この人はわかってる。
その寂しさは埋まらないけど、紛らすことはできるって。
…それをわかってる上で、奪還屋に頼んでるんだ…って。

蛮ちゃんも、それをわかってる。
…わかってるから、ハッキリ断れないんだ…。

 

そこで、ヘヴンさんが釘をさした。

 

「報酬が500万でも断るのね?あらそう、じゃぁ士度クンにでも…」


…蛮ちゃんが、この台詞に黙っているわけがないんだから…。
案の定、蛮ちゃんは8割方勢いで依頼を受けてしまったのです。

 

 


「やだぁ…」

 

 


今日は、その依頼主さんと蛮ちゃんが、ホテルに行く日なのです…。
といっても、もう家にはオレ一人。
…蛮ちゃんは出かけちゃったのです。

…でも、ね?
やっぱり嫌だけど…心配は、あんまり…してないの。

 


『俺が愛した身体はお前だけだ』

 


…そう言って、キスをしてくれたから…。
優しく微笑んで、蛮ちゃんは出かけていった。

でも…蛮ちゃんが、オレ以外の人に触るのは…やだよ。
蛮ちゃんの唇が、他の人と…なんて。
想像するだけで……本当に泣けてきちゃう。

 

「ひっ…く、ぅ…ぐすっ、蛮ちゃぁん……やだぁ、ばんちゃぁ…」


…ボロボロ、涙が止まらない。
何度も手でこするけど、こうするといつも蛮ちゃんが怒ることを思い出して、手を止めた。
「目、腫れるからやめろ」…っていって…。

…今オレが寝っ転がっている、このベッドだって。
いつもなら…蛮ちゃんと二人で、触れ合っているのに。
それなのに…今は、こんなにも冷たい。
肌に触れるシーツが…冷たいよ…。

 


――会いたい…。
すごく、会いたい…。
無理なのは…わかってる。
だけど……。

 

 

少し止まりかけた涙が、また溢れそうになった時…。

 

 

 

「っ……?」

「――…っは……。…泣くなよ…銀次ィ…」

 


――…ばん、ちゃん…?

 


シーツにくるまっていたオレのカラダごと、
後ろから…誰かに抱きしめられて…。


「…言ったろ…?俺が愛したヤツは…お前だけだって…。」

「ばん、ちゃ…」

「カラダも、ココロも…。愛しているのは…お前だけだ……」

 

…せっかく、止まりそうだったのに。
せっかく、今…やっと、泣きながらだけど…一人で寝れそうだったのに。

 

 

「ばん、ちゃぁ……!!」

 

 

後ろからオレを抱きしめていた蛮ちゃんに向き直って、
蛮ちゃんに…正面から抱きついた。


…ずっと、触れたかった体温…。


「…銀次…。…泣くなって…。抱いてねぇよ、あんな女…」

ぽんぽん、とオレの頭を撫でながら、溜息混じりに言った。


…抱いてない?


「な、なんで…?だって、蛮ちゃん…」
…あの女の人と、しちゃったんじゃないの…?
終わったから、帰ってきたんじゃないの…?

で、でもそれにしては…早すぎるような気もするけど…。

涙で歪む視界を瞬きでクリアにしながら、
サングラスをとった蛮ちゃんの瞳を見つめた。

 

…あの時と、同じ。
出かける前に、あの言葉を言ってくれたときと…同じ、優しい瞳。

 

「…お前以外、抱いてたまるか…」
「ぁ…!」

する、とシャツの隙間から入り込んでくる指先。
すごく冷たくて…勝手にカラダが跳ねちゃうよぉ…。

「ぁっ、やぁ!んんっ…」
「…あの女には、邪眼かけといた…。」

…そうなんだ…。

――あぁ、そうか…。
オレ、ほんとバカ……。
蛮ちゃんは…最初っから、そうするつもりだったんだ。
女の人のお相手をするつもりなんて…なかったんだ…。

ぴくん、と反応しちゃうカラダを抑えながら、
なんとか蛮ちゃんの言葉を聞き取る。
…恥ずかしい、けど…


今は…蛮ちゃんに、抱かれたい…かも…。


「ちゃんと、1分経った後にも話し合ってきたし…」
「あぁ…!ひぁ、ふ、ぅ…」

…じゃぁ、ちゃんと…報酬もらえるね…?
よかったぁ…ガマンしといて…。

 


「…早く、お前を味わいてぇ…」

 

 

 

 

「ふぁあ…!だめ、だよぉ…」
「ほら…暴れんな…」

銀次の白い両足を高く持ち上げて、普段晒されることの無い場所を目の前に持ってくる。
そうするだけで、羞恥に弱い銀次のソコはヒクヒクと震えて…。

「んぁあっ…!?ひぁあ…!!」

――ぴちゃ、ちゅ…
自分の唾液を舌で送りこみながら、ゆっくりとソコをほぐす。
どんどん柔らかくなってくると、思いっきり舌を突き刺した。

「ひぁああっ!だめっ、そんな…、きたなぁ……よぉ…!」
「大人しくしてろって…。汚ないワケねぇだろ?…お前のカラダだぜ…」

いいつつ、舌を動かしてナカを蹂躙する。
キュ…と締め付けてくる感触に、早く挿れてぇ…と欲が疼いて。

「んン…!!ぁあ…蛮ちゃん、蛮ちゃぁん…!」
「わぁったって…。今…埋めてやっから…」

ソコから顔を離して、もう天を向いている自身を宛がう。
それだけで小さく声を漏らす銀次に、煽られる。

「ぁ、あ…!!ひゃぅうう…!あ、つい…!あついよぉ…!」
「っ…!お前のナカが…熱ィんだって…!」

銀次のナカは…包み込むような熱さなのに、キツく締めつけてきて…。
気を抜いたらこっちが達してしまいそうな程。

「ばんちゃん…!ばんちゃぁん…!」
「…どーしたよ…銀次ィ…」

ふるふると全身を震わせながら、こっちに手を伸ばしてくる。
そっとそれを握ってやると、銀次が嬉しそうに笑った。

「おれ、ね…?ほんとは…やだったの…」

蛮ちゃんが、オレ以外の人と…えっちなことしちゃうなんて…。
ほんとはやだったけど、でも…お仕事の邪魔はしたくなかったから…。
でも、えっちなこと…してないんだよね…?
よかったぁ…。


おれ、蛮ちゃんのこと…だいすき、だから…。

 

快感に邪魔をされながら、一言ひとこと…大切に言葉を紡いだ銀次。

 

あぁ…もう………。
本当にコイツは…、可愛すぎる…。

 

 

…正直、それからの記憶がすごく曖昧で。
気付いたら、俺の下で…銀次が失神していた。


「…やっべ……本気でヤっちまったか…?」

…悪い事をしたな、と思いつつも。
煽りまくったコイツが悪いんだ…と結論づけて。

銀次をもう一度自分の腕に納めて、自分も眠りについた。

 


…銀次が起きた直後、部屋に蛮の断末魔が響いたのは言うまでもない。
理由は…「動けない・ナカに蛮のモノが刺さったまま・激しすぎた」…かららしい。

 

 

 

 


リクをくださった方、ありがとうございました!
とても素敵なリクで…妄想が広がりました(笑)
なんだか中途半端な終わり方で申し訳ないですが、
愛だけはこめましたので(ぇ

お持ち帰りはmai様だけですよ~。

 

 

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