Bubble sweet

 

 

 


「ふぁー…。やっぱりお風呂って気持ちいいよねぇ…」

あったかくて、ゆらゆらしてて、さっぱりして、きもちいい。
それに、今日はお仕事がうまくいったのです!
だから、ちょっとお金が入ったのであわあわの入浴剤をいれちゃったりして。
暖かいお湯と、キメの細かい泡に全身を包まれて。
あんまりにも気持ちよすぎて、眠くなっちゃいそう…。

「そーいえば…」
この前お風呂に入ったまま寝ちゃって、蛮ちゃんに救助されたんだよね。
オレってば、溺れかけたことにも気づかないで寝てて…。
気がついたときには、蛮ちゃんが服も着せてくれて、
風邪引かないように髪も乾かしてくれてたんだ。
…あの蛮ちゃんがだよ?

「ふふっ…蛮ちゃん、カッコいいけど可愛いところもあるんだよね…」
指でふわふわと泡をいじりながら、ついつい笑ってしまった。

「うーん…。もうちょっと入ってたいけど…また寝ちゃいそう…」
ぽそ、と呟いた、そのとき。


「まだ入ってていいぜ、銀次ィ」


ガラスの戸の向こうから聞こえた声と共に、
髪の毛がツンツンな見知ったシルエット…が。


――ガラッ!

 


「……きゃ――っ!!なんではいってくるのぉお!?」

「なんでって…お前そりゃ、一緒に風呂入んのも夫婦の営みの一環だろが」
さらっと答えながら、シャワーを浴びてお風呂に入る気満々の蛮ちゃん。
い、意味わかんないぃいっ…!

そ、それに。
ふっ…夫婦!?
ちょ…ちょっと嬉しい、かも…。
ってそうじゃないっ!


「だ、だからって!ちょっ、やだぁ!ホントに入る気!?」
「あったりめーだろ!ほら、もっとつめろ」

ぐいぐいと前におされて、ちょっとできた後ろのスペース。
そこに、蛮ちゃんがばしゃん…とすべりこんできて。

「えっ…な、なんで…」
わざわざ後ろに…くる、のさ…。
き、緊張しちゃうじゃんかぁっ…!

「あ?んー…なんつーか、後ろから…こう…」

する、と前に手が回され、肩口に顔を埋められて。

 

「…こうやって、抱きしめたかった…」

 

さっきまでのふざけたような雰囲気一変、低くて…甘い声で、蛮ちゃんが囁いてきた。
それだけでぞくぞくっ、て何かが背を這っていったような感覚…。
こんなときばっかりそんな声…使って。
ホント、ズルい。

「ぅ、ひゃ…」
「逃げんなって…」

ひぃいいい!こ、こんなの無理だよぉっ…!
いつもぎゅーってされるより、すごく緊張する。
それじゃなくても、お湯につかってて暑いのに。
もっと…熱くなっちゃうよ…。

ぎゅ、と強く目を瞑ったまま、蛮ちゃんに抱きしめられていると。
耳元でクス、と小さく笑った感じがして。

「そんなガチガチになんなって…。しょーがねーな、オレ様が洗ってやるよ」
「い…いいよ!だいじょぶ、オレ自分で洗えるっ!」

首をぐるんっと回して、蛮ちゃんに抗議する、けど。
あっさりと流されて。
手を伸ばせば届く範囲にあったボディーソープと、体を洗う専用のタオルをつかんだ蛮ちゃん。

「ま、たまにはいいじゃねぇか。ほら、前向け」
「え、あっ…!……ん…」

最初はちょっとびっくり、したけど。
ちょうどいい強さで背中を洗われて、…すごく気持ちいい。
気づけば、腕とか手先とかも丁寧に洗われていた。
もういいよ、って言いたかったけど、鼻歌を歌いながら楽しそうに洗う蛮ちゃんを見ちゃっては…。
なんだか、言うタイミングを逃し続けちゃって。

「どーよ、銀次ィ」
「ん…きもち、いい…」
「もっと寄っかかっていいぜ」
「あ…うん。あり、がと…」

――蛮ちゃん、どーしちゃったの?
こんな、すごくお世話してくれて。
色々と考えるけど、…だめ。
もう、頭の中ふわふわしてて…。

「…眠い?銀次」
「う、ん…。んぅ…」
「このまま寝ちゃってもいいぜ」
「う、んん…」

正直、最後らへんはきちんと聞き取れてなかったけど。
肩口に埋められた蛮ちゃんの唇からこぼれる吐息とか、低い声とか。
おなかの辺りにある蛮ちゃんの手が、さするようにゆっくり動いてたりとか。
…もし意識がハッキリしてるときだったら、「蛮ちゃんのえっち!」って言っちゃいそうだったけど。
でも今は、それら全部がオレを眠りに誘っていって。

 

「んにゅ…」

 

…とうとう、お風呂の中で蛮ちゃんに寄っかかったまま、寝てしまったのです。

 

 

 

**

 

 

 

「ふぁ…あ…?」
「お、目覚めたか?」
「んぁあ…ばん、ちゃ」
「あぁ、起きなくていいぜ」

――!?!?

慌てて起き上がって、…すぐまたベッドへと沈み込む。
あ、あれ…?ちから、全然はいんないや…。

「あ、バカ。お前のぼせちまってんだから…無理矢理起きんな」
「…また、オレやっちゃったんだぁ…」

ぺちぺちとおでこを叩いてくる蛮ちゃんの手は冷たくて、すごくキモチイイ。
…また蛮ちゃんに救出されちゃったよ…はぁあ。
ふいに蛮ちゃんが顔を覗き込んできて、心臓がどくん!となる。

「…ったくよー…、ガマンすんの、大変だったんだぜ?」
「…はい?」

ちょっと前までの心配そうな顔はどこへやら、
…エロオヤジ…失礼ですね、変態さんみたいな顔でニコニコしてますよ…蛮ちゃん。

「気失ってカラダはクタクタしてるしよー…顔は真っ赤、息も荒いし。」
「ふぇえ…ワザとじゃないよぉ…!」

だんだんと嫌な予感がしてきて、せっかくのお風呂上り(救出された)なのに汗かいてきた…。
…あれっ、そういえば…オレ、もしかして全裸…ですか!?
ばっと下を見れば、…やっぱり。
何も着てないし…布団すらかけてもらってない!!
オレのバカ!!気づくの遅いよぉお!!

 

――…。

 


「…救出したお礼と、煽ったぶん。…きっちり頂くぜ?」

 

 


「――…いやぁぁあああ!!!」

 

 

 

Novel

 

 


あこ様から素敵なリクを頂きましたv
「美堂さんと銀次が一緒にお風呂に入るお話」です。
お風呂ネタ、大好きなのでとても楽しみながら
書かせていただきました(笑)

蛮銀なら何でもうまうまなんですけどねv←

ではでは、素敵なリクをありがとうございました!
お持ち帰り等はあこ様のみでお願いしますv