Valentine Love 7

 

「…銀次」
――さっき、このシャワーを使っていたのは銀次。
いくらちょっと頭が足りなかったとしても、理由もなくこんな冷水をかぶるわけがない…。
もしかしたら、だけど。

銀次も…カラダが火照っていた、とか…?
そういえば、シャワーを浴びる前よりも、出てきた時の方が顔の赤らみが引いていたような気もする。
こんなん、俺の勝手な妄想だけど。

「…ちょうどいい」
俺も、カラダが高ぶっちまってしょうがねェし…。
そのまま、全身に冷たい水を浴びせた。


「蛮、ちゃ…」
ベッドに座ってぼぉっとしていると、ふいに蛮ちゃんの気配を感じて。
後ろを振り返ると、さらさらな綺麗な黒の髪の毛を垂らした蛮ちゃんがいた。
…なんていうか。

髪が下りてるからかもしれないけど、いつもと何処か雰囲気が違くて…。
大人っぽいのかな…―?

――違う。
瞳が…普段宿していない色を含んで…
まるで…獣、みたい…。

「…そんな固まンなって」
蛮ちゃんはゆっくりこっちに歩いてきながら、少し困ったように笑った。
「あ…うん」
気付いたら、蛮ちゃんが纏っていたさっきの…
獣のような空気はどこにもなかった。
ギシ、とベッドの軋む音と一緒に、蛮ちゃんが隣に腰掛ける。

ふわ、とシャンプーのいい匂いがする…。
いい香りなんだけど…オレは、蛮ちゃんの匂いの方が好きだなぁ…。
いつも吸っているマルボロの香り。
煙草はあんまり好きじゃないけど…蛮ちゃんの匂いは、好きなの。

「銀次」
「…ん、ぁ?」
蛮ちゃんの香りの事を考えてるとき、オレはずっと蛮ちゃんの瞳を見つめちゃってたみたいで…
うわぁ、恥ずかしいぃ…!

ばっと下を向くと、上からくくっ、と低い笑い声が聞こえてきた。
「お前なぁ…無意識なんだろうけど、誘われてンのかと思ったぞ…?」
その声色がすっごく優しくて…
シーツを見つめていた視線を、蛮ちゃんの方へ持っていく。

「蛮ちゃ…」
「…銀次…」
…そっと、蛮ちゃんの顔が近付いてくる。
またさっきのしてくれるんだ、って思った時には、もう唇は重なっていて…。
…きす、って。ホントにさっきのさっき、初めて蛮ちゃんにされた。
前に見たテレビで、男の人と女の人がおんなじことしてたのを思い出した。

「っふ…ぁ」
あ…だめ。
舌をちゅ、と吸われちゃうと、身体からふわんって力が抜けちゃう…。

「ぁ…」
柔らかくベッドに押し倒されて、蛮ちゃんが上に乗っかる。
「っ…?」
ツキ、と一瞬だけ首筋に走る痛み。
痛みっていうより…違和感、みたいな?
そして、蛮ちゃんの指がそこをなぞって…

「…俺の、ってシルシ…。これからもいっぱいつけてやる…」
低くて、ちょっと掠れた色っぽい声…。
そんな声でこんなこと囁かれたらっ…!
「っん…!」
カラダに力が…入んないよ…ぉ…

「ひゃっ…!?」
するっ、とバスローブの合わせ目から蛮ちゃんの手が滑りこんできて。
「ぁ、んっ…!」
胸の小さな突起を弄られる。
それだけなのに…変な声が勝手に漏れちゃう。

「…男でも感じるんだぜ…?特にお前はクるみてぇだな…」
「感、じ…?」
なに、それ…。感じるって何…?
蛮ちゃんが言ったことの意味をぐるぐると考えていると。

「ひぁあっ!?」
ばっと勢いよくバスローブを剥がされてしまったのだ。
「ちょっ…蛮ちゃぁん!」

――いきなりなんてっ…!
…まぁ、なんていうか…シャワーを浴びた後、行為に入ることはなんとなぁくわかっていたから…。
バスローブの下には何にも纏っていない。
それなのに、いきなり全部取られてっ…

「…隠すな…」
露わにされた裸体を隠すように、身体を縮こめる銀次。
…ずっと、こうしたかった。
…銀次に、触れたかった…。

「んぅ…」
傷もなく、白く綺麗な肌に口づけを落としていく。
蛮の唇が触れた場所には、紅い痕が散って…。

「ひ、ぁっ!あぅ、だめぇっ…!蛮ちゃ、」
…蛮の手が、銀次の下肢へと伸びる。
「いいから…じっとしてろ…」
「あぁっ…!や、めっ…んぁっ!」
「もう…勃ってんじゃん…」

緩く勃ちあがった銀次の自身にゆっくりと手をかけ、ゆるゆると愛撫を始める。
…先端から溢れる先走りが、蛮の手を汚していく。
「ふぁ…んぁあ…!」
「じっとしてろ…」
「えっ…いやぁ…!やめ、蛮ちゃんっ!」

…蛮が、銀次のモノをぱくりと咥えてしまったのだ。
「あぁあん…!」
熱い粘膜が、ねっとりと銀次を包んで…
――こんなの…すぐイっちゃうよぉ…!

じゅるっ…ぴちゃ…
「やぁあ…はなっ…離してぇえ…!」
蛮の頭に手を添えて、必死で離そうとするけど…
与えられる快感に全く力が入らない。
あの蛮が。自分のモノを咥えているなんて…
…視覚的にも結構なものがある。
思わず銀次は目を瞑った。

「あっ、も…ぉ…出ちゃぁ…」
「いいぜ…イけよ…」
もうダメ、とふるふると銀次が横に首を振ると、途端に荒ぶる舌の動き。
…根元から先端まで、裏筋をなぞっていく感触に…耐えられない。
とどめに、先端を舌でなぞられては…もう、無理。

「ぁっ、やぁ!ヒ、ぁあっ!」
――ドクッ…ぴゅくん…
「ぁっ…や、ぁ…見ない、でぇ…」
「…なんで…?」
まだ出るだろ、とでも言うように、達している途中の銀次のモノを強く上下に擦る。
達したばかりのカラダは、過剰に快感を拾って…。
「やぁぁぁ!やめてっ…今、だ、めぇ!!」
「ほら…もっと…」
「無理、ぃっ…!いやぁああ!!」
…達しながら、再び達する。
何度も腰が勝手に跳ねてしまう…。

「あ、ぅ…っ?」
ふと後ろに感じる圧迫感と違和感。
「な、ぁに…?ぁんっ…やぁあ…」
銀次の吐きだした精液を指に絡め、蕾にそっと触れる。…そのまま何度かぐいぐいと浅い場所で出入りを繰り返して。

――ちゅ…ぷ…
「んやぁ!ひっ、ぅ…」
…蛮の指先が、銀次のナカへ埋まっていく。
初めての感覚に…悶えずにはいられない。
 

⇒8

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