Birth 3

 

「えっと…オレ、男だよ…?」
当たり前のことを答えてしまう。

「そんぐれぇわーってら。…お前、メチャクチャデタラメな体してんじゃん?
だったらガキぐれぇできても不思議じゃねぇな、って思ってよ…」

「…確かに…」
一瞬納得してしまった。
…ってそうじゃないだろ自分ッ!!

「…第一蛮ちゃん子供嫌いじゃん…」
思い出した。蛮ちゃんは子供が嫌いなんだ。
オレは可愛くて大好きなんだけど…
子供ができたって、蛮ちゃんが可愛がってくれなきゃやだよ…

「ばぁーか。銀次との間のガキは別だっての」
ぼそ、と呟かれた。
なんだか今日は、すごいことを言われる日だなぁ…。

「蛮ちゃん…v」
オレとの間、って…
すっごい、嬉しい…。

「オレ、も…蛮ちゃんとの子供だったら、できてもいいなぁ…」
ありえないことなのに、蛮ちゃんの言葉に浮かれてそんなことを言ってしまった。
でも、結構本心なわけで。

「だろ?俺的には銀次似のガキ希望だな。」
「えぇ?オレは蛮ちゃんに似てる子がいいなっ♪」

こんな会話をしているうちに、オレらは眠りについてしまったらしい…。


「んぁ…」
朝、かぁ…

むくり、と身体を起こす。
「ったた…」
腰に走る痛み。…昨日ちょっと無理しちゃったからなぁ…
手加減してくれないんだもん、彼…。

なんてちょっとぷぅっと膨れながら、蛮ちゃんの寝顔を見る。

…本当に、綺麗な顔。
オレ、こんな素敵な人と一緒にいるんだなぁ…
しあわせ…
と実感してしまう。
「蛮、ちゃ…」

ん?

もぞ、とオレと蛮ちゃんの間で動くモノ。

「…え」
もぞもぞもぞっ。

「…………ええええ」
まさか、まさか、まさか。

ばさっ、と勢いよく布団をめくる。

「…んだよ銀次…起こすならもちっと普通に…」
と布団を剥がれ起きた蛮が漏らす言葉は、驚きに遮られた。


「「えええええええええええ!!!!!!???????」」


「ななななななっ、なんで……!!!?」
「お、おい…お前、まさかホントにガキ…!!!」
「んなわけないじゃんっ!!!バカなこと言わないでよぉっ!!!」
「じゃ、じゃぁなんで…」

なんでここにガキが二人もいるんだよ!!???

「お、オレっ、子供なんて産めないよ!?」
完全にパニック状態の銀次。
そりゃそうだろう。
昨日あんな会話した後に本当に子供がいるのだから。

「わーってるよ…お前男なんだからよ…」
「じゃぁなんで子供がいるのさぁ!?」

「…神の授け子?」
…我ながらバカな答えをしたと思う。

「…蛮ちゃん…それは…」
いくらアホな銀次でもそれくらいありえないとわかったらしい。

「…んだよ、じゃぁなんだっつーんだよ…」

一人は俺に似てる黒髪。
一人は銀次に似てる金髪。

「完全に俺らのガキじゃねェか…どーすっか?保育所にでも預けんのか?それとも…」

育てんのか?

「保育所っ?そんな…!せっかく…!!」
せっかく、この世に生まれてきたのにっ…
親のいない生活をしてきた銀次にとって、これ以上自分のような存在は出したくないのだろう。

「じゃぁ…育てる、か?」

言うだけなら簡単。
だが、今の俺らにはもちろんそんな金だってねェし、育て方だってほぼ無知。
基本中のキホンしか知らない。

「う…」
銀次もそれは十分わかっている。

「だけど…でも…!親がいない生活をさせるなんて…」

オレが、耐えられないよ。

優しいコイツは、そう言う。

「…まぁ、金…は働けばどーにかなんだろ。(仕事があればの話だ)
育児も、波児とかヘブンとか夏実とかに頼れば平気なハズだ」

「え…?」

「…保育所に行かせんの、やなんだろ?」

だったら俺らで育てるしかねェだろーが。

 

 

 

→4

 

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