「えっと…オレ、男だよ…?」
当たり前のことを答えてしまう。
「そんぐれぇわーってら。…お前、メチャクチャデタラメな体してんじゃん?
だったらガキぐれぇできても不思議じゃねぇな、って思ってよ…」
「…確かに…」
一瞬納得してしまった。
…ってそうじゃないだろ自分ッ!!
「…第一蛮ちゃん子供嫌いじゃん…」
思い出した。蛮ちゃんは子供が嫌いなんだ。
オレは可愛くて大好きなんだけど…
子供ができたって、蛮ちゃんが可愛がってくれなきゃやだよ…
「ばぁーか。銀次との間のガキは別だっての」
ぼそ、と呟かれた。
なんだか今日は、すごいことを言われる日だなぁ…。
「蛮ちゃん…v」
オレとの間、って…
すっごい、嬉しい…。
「オレ、も…蛮ちゃんとの子供だったら、できてもいいなぁ…」
ありえないことなのに、蛮ちゃんの言葉に浮かれてそんなことを言ってしまった。
でも、結構本心なわけで。
「だろ?俺的には銀次似のガキ希望だな。」
「えぇ?オレは蛮ちゃんに似てる子がいいなっ♪」
こんな会話をしているうちに、オレらは眠りについてしまったらしい…。
「んぁ…」
朝、かぁ…
むくり、と身体を起こす。
「ったた…」
腰に走る痛み。…昨日ちょっと無理しちゃったからなぁ…
手加減してくれないんだもん、彼…。
なんてちょっとぷぅっと膨れながら、蛮ちゃんの寝顔を見る。
…本当に、綺麗な顔。
オレ、こんな素敵な人と一緒にいるんだなぁ…
しあわせ…
と実感してしまう。
「蛮、ちゃ…」
ん?
もぞ、とオレと蛮ちゃんの間で動くモノ。
「…え」
もぞもぞもぞっ。
「…………ええええ」
まさか、まさか、まさか。
ばさっ、と勢いよく布団をめくる。
「…んだよ銀次…起こすならもちっと普通に…」
と布団を剥がれ起きた蛮が漏らす言葉は、驚きに遮られた。
「「えええええええええええ!!!!!!???????」」
「ななななななっ、なんで……!!!?」
「お、おい…お前、まさかホントにガキ…!!!」
「んなわけないじゃんっ!!!バカなこと言わないでよぉっ!!!」
「じゃ、じゃぁなんで…」
なんでここにガキが二人もいるんだよ!!???
「お、オレっ、子供なんて産めないよ!?」
完全にパニック状態の銀次。
そりゃそうだろう。
昨日あんな会話した後に本当に子供がいるのだから。
「わーってるよ…お前男なんだからよ…」
「じゃぁなんで子供がいるのさぁ!?」
「…神の授け子?」
…我ながらバカな答えをしたと思う。
「…蛮ちゃん…それは…」
いくらアホな銀次でもそれくらいありえないとわかったらしい。
「…んだよ、じゃぁなんだっつーんだよ…」
一人は俺に似てる黒髪。
一人は銀次に似てる金髪。
「完全に俺らのガキじゃねェか…どーすっか?保育所にでも預けんのか?それとも…」
育てんのか?
「保育所っ?そんな…!せっかく…!!」
せっかく、この世に生まれてきたのにっ…
親のいない生活をしてきた銀次にとって、これ以上自分のような存在は出したくないのだろう。
「じゃぁ…育てる、か?」
言うだけなら簡単。
だが、今の俺らにはもちろんそんな金だってねェし、育て方だってほぼ無知。
基本中のキホンしか知らない。
「う…」
銀次もそれは十分わかっている。
「だけど…でも…!親がいない生活をさせるなんて…」
オレが、耐えられないよ。
優しいコイツは、そう言う。
「…まぁ、金…は働けばどーにかなんだろ。(仕事があればの話だ)
育児も、波児とかヘブンとか夏実とかに頼れば平気なハズだ」
「え…?」
「…保育所に行かせんの、やなんだろ?」
だったら俺らで育てるしかねェだろーが。
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