「ただいまぁっ!買ってきたよー蛮ちゃんっ」
扉の向こうから聞こえてくる、俺の恋人の声。
「蛮ちゃんっ!ちゃんとできたよーv」
扉を開けてすぐ、俺の胸へ飛び込んでくる銀次。
すぐそばにある、見た目よりも柔らかい髪をそっとなでてやる。
…撫でている方も心地いい。
「一回道に迷っちゃったんだけど…なんとか戻ってこれたんだよー」
ぱっ、と顔を上げて、俺だけに向けてくる笑顔。
この瞬間だけは、銀次が俺だけのモノになったような気がして、心が満たされる。
…なんという欲なんだろう。
「…銀次」
「ん…?」
ちゅ。
「っ…!!」
「…ご褒美。」
ぷくっと真っ赤に熟れた唇へ、
触れるだけの軽いキスを一つ落とす。
それだけで頬を赤く染めてしまう銀次が、可愛くて可愛くて。
………勃っちまったじゃねぇか。
「蛮ちゃん……っオレ、汗かいちゃったからシャワー浴びてくるねっ!」
このまま襲われそうな雰囲気を悟ったのか、慌てて腕の中からすり抜けていく。
一瞬追いかけようと思ったが、
この真冬に『汗をかいた』というアホな嘘をつく銀次がまたしても可愛く思えてしまって…追いかけるのをやめてしまった。
「蛮ちゃぁん…オレお腹空いたぁ…」
浴室からでてくるなりいきなりの訴え。
こいつに食欲以外の欲はないのか…?
ちょっとは俺のことも考えてほしいものだ。
…なんて、こんなこと銀次には言えねェけど。
「銀次…メシは後」
「ほぇ?」
ぽけっとしている銀次を抱え、寝室へ向かう。
「ぅわっ!ちょ、蛮ちゃ…!危なっ…」
「大丈夫だ、お前は落とさねェよ」
とさ、と優しく銀次をベットへ横たわらせる。
「蛮、ちゃ…」
今になってやっと自分の状況がわかったらしい。
頬を赤く染め、少し潤んだ瞳で見上げてくる。
「銀次…」
耳元で囁き、バスタオルの中へと手を忍ばす。
「っ…つめた…」
シャワーを浴びてあったかくなった銀次の体に、蛮の指はとても冷たくて。
思わずカラダが跳ねてしまう…。
「ぁんっ…!」
蛮の指が、胸の飾りを探りあて、弄る。
指との温度差までもを、今のオレは快感に変えていってしまう。
「ん、ゃ…ぁ!っ…」
いつの間にか飾りを口に含んでいた蛮は、舌で転がしたり押しつぶしたりする。
…男なのに胸で感じちゃってるオレって…。
「ひゃぁっ!」
いきなり、腰に巻いていたバスタオルを剥がされる。
は、はずかしっ…!
お風呂上がりだからタオルしか身に纏っていないし、今の銀次の身体を隠すものは何もない。
「やっ、蛮ちゃん…!タオル、返してぇ…」
恥ずかしすぎて、涙がでてくる。
まだ涙を流すことは堪えられるけど、声が震えてしまう。
「だぁめ…銀次、シよーぜ…」
いっつも直球で誘ってくる。
言われるこっちが恥ずかしくなっちゃう…。
なぜそんなことをはっきり口にできるのか、オレにはわかりません…。
「やだって言ったって、どうせスるくせに…」
「はっ、まぁな。でもお前が本気で嫌がった時はしねぇぜ?」
意地悪そうな笑みを浮かべているのに、セリフはちょっと優しかったりする。
「蛮ちゃん……ぁ、」
首筋に蛮ちゃんの唇を感じる。
――ちゅくっ…
…あぁ、また見える位置にシルシつけられちゃう…。
シルシをつけられるのは、たぶん…好き。
蛮ちゃんのモノ、ってすぐにわかるから。
でも、見える位置につけられるとちょっと恥ずかしい…。
唇を首筋にあてたまま、時折強く吸い上げられる。
そのだけの刺激でぴくんっ、と震えてしまう自分のカラダが恨めしい。
「あぁっ…!」
手を下へと滑らせ、直で銀次のモノへ触れる。
「ひんっ…」
銀次には悪いが、俺は結構前から興奮していたのでもう我慢の限界。
本当は焦らしてやりたいくらいなんだけど…。
俺の正直な息子がそれまで待ってくれそうな気もしねぇから、一度銀次をイかせてやる。
先っぽの方を強めに親指の腹で擦る。
…だんだんと俺の指先を濡らしていく、銀次の透明なモノ。
見れば見るほどに興奮は高まっていき、俺のモノも銀次に触られたら達してしまいそうなほど。
後孔を慣らすのも程々に、俺のモノを宛がう。
「っ…!蛮、ちゃ…」
まだこの行為は怖いらしい。
それも無理はない。
男の雄を、受け入れるべき場所ではないところにいれるのだから。
…それでも、逃げない銀次が愛しい。
「銀次…力、抜いとけ…」
不安そうにこっちを見つめる銀次に優しく微笑む。
そして、唇へ軽くキス。
すると、ふっと銀次の身体から力が抜けるのがわかった。
銀次の呼吸に合わせ、先端を押し込める。
「あぁっ…!ぅあっ、んぁぁ!!」
彼の熱い杭が、どんどん入ってくる…
この瞬間だけは、どうしても慣れない。
「ひぁっ!」
ズン…と衝撃が響き、奥まで貫かれたのがわかった。
つい彼のモノを締め付けてしまって、はっきりと形がわかってしまう。
「っは、は…全部、入った…?」
「ん…入った…」
頑張ったな、とでも言うように、頭を撫でられる。
痛いのと、苦しいのと、嬉しいのと…
全て混ざって涙がこぼれた。
「銀次…痛い…?苦しい……?」
蛮ちゃんまでが泣きそうな顔をした。
蛮ちゃんの顔を見たら、痛いのも苦しいのも吹っ飛んで。
そのかわり、体を快感が支配し始めた。
熱を持ち、先はもう天を向いている。
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