アウト

 


「…俺もう無理これ以上我慢したら犯罪者(強姦)に突っ走っちまうから…」
…銀次がいないことを確認してから、とりあえず呟いてみる。

最近、銀次が妙にくっついてくる。
以前からスキンシップが大好きな奴ではあったが、ここまでではなかったと思う。

テレビを見ていれば、後ろからぎゅーっと抱きついてくるし。
「何かあったのか?」と聞いても、ただただ抱きついてくるだけ。

寝るときだって、俺の腕にくっついて一緒に寝ようとする。
別に、どんだけくっつかれたって銀次ならいいんだけど。

…ただ、ほら…理性が。
毎度毎度あれだけ近い距離にされては…正直危ないトコロ。

――まだ、銀次に手を出したことはない。
キスまでは…したことはあるけれど。
早く抱きたい気持ちでいっぱいなんだけれど…銀次がそういうことに無知なのは、
俺が一番知っているから。

焦る必要はない、とわかっている。…つもりだ。
だけど、最近の銀次は…ヤバい。
誘っているようにしか思えない…。

「ただいまーっ!蛮ちゃんっ、煙草買えたよー!」
「お、おう…えらいな…」
…保護者のような気分だ。
だけど、今経っている場所はあともう少しで犯罪者になってしまうというギリギリのライン。
まったく…息子を襲いたいなんて、どんな親なんだ…。
いや、親じゃないんだけどな。

「…うおっ、テメ…煙草!」
なんて考えているうちに、また飛びついてくる銀次。
…くそぉぉぉ、俺の気持ちも知らずにぃぃぃ…!!

「えへへ…、蛮ちゃんの匂いだぁ…」
「っ…銀、次……」

…ライン、アウト。
ぶちっ…と、理性が切れた音が聞こえた。

「ぁ…蛮、ちゃん…?」

気付けば、…銀次が下にいた。
銀次の両腕を右手で抑えて、組敷いて。
脚の間に自分の身を挟み込んで。

完全に、逃げられないように。

「ん、ぅ…!」
呼吸ごと奪い去るように深く…口付けて。
奥に逃げ込む小さな舌を、絡め取りながら口内を蹂躙する。

「ふぁ…!蛮ちゃ…」
ぺろ、と銀次の下唇を舐めて。
仄かに赤く染まっている頬を、左手で包み込む。

「…抵抗…しねぇのかよ…」
…正直、電撃は覚悟していたのだけれど。
銀次は小さく身を震わすだけ…。

「…誘ってんのかと思ったんだけど」
そっと、銀次の頬へ手を滑らせて。
抑え切れない欲をそのまま声に表した。

「…蛮、ちゃん…キス…て、くれ…」
「…なに…?聞こえねぇよ…」
言葉を一つ一つ紡ぐたびに潤んでくる銀次の瞳。
止めてやればいいのに、…抵抗しなかった理由をどうしても聞きたくて。

「…蛮ちゃ…、キス…して、くれた…」
「…嫌…だったか…?」
やっと聞きとれた言葉。
それは、この前に…不意打ちに近いものでしてしまったキス。
銀次の可愛さに耐えられなくて、つい迫ってしまって…。
けれど銀次も顔を紅くして微笑んでいたから、合意の上かと思っていたのだが…
違ったのか…?

「やじゃない…よ…!違う、よ…、おれっ…」
…言いたい事をうまく纏められないのか、自分でももどかしそうな顔をしている。
ゆっくりでいいから、というように、銀次の髪を梳く。

「…蛮ちゃ…キス、より先のこと…して、くれな…ぁ…」
「な……」

…コイツ、わかって言ってんのか…!?

キスより先のコト、って…アレだよな?
俺が耐えに耐えてきたアレだよな?
いや…待て待て待て、銀次がそんなこと知ってるとは思えな…

「…よく、わかんな…けど…、蛮ちゃ、なら…してくれる…でしょ…ぉ…?」

…はい。
そりゃもう銀次とシたくてシたくてしょーがないですけど。

「…オレっ…おれぇ…もっと、蛮ちゃ…近く、なりたぁ…」
「っ…、銀、次…」
「蛮ちゃぁ…!お願ぁ…、ごめん、なさ…っ、」

…とりあえず、その涙目で上目づかいを使うのはやめてくれ。

「…んで謝るんだよ…」
「だ、って…おれ…ワガママ、言ってぇ…」

…んな可愛いワガママ。
もっと早く言ってくれりゃぁ良かったのによ。

「…好きだ、銀次…」
「…っ!蛮、ちゃぁ…」
…普段、俺がこんなことを滅多に言わないものだから。
いきなりどうしたの…?という目で見つめてくる。

「…キスより先のコト…、シたいの…?」
「ぁ…っん、」
…こくん、と首を縦に振る銀次が可愛くて。

――優しく聞きながら、手を銀次のシャツの中へと忍び込ませて。
触り心地の良い肌に何度も手のひらを滑らせた。

「どーゆーコトか…ちょっとは…わかってる?」
『よくわかんないけど…』先程そう言っていたのを思い出して。
どこら辺まで理解しているのか…。
少し気になってしまった。

「…えっちな、こと…ぉ…?」
肌を触られる感覚にびくびくと悶えながらも、小さな声で答える銀次。
辿り着いた胸の飾りを軽く引っ掻くと…。

「ぁっ…ふぇ…?や、ぁ…そこぉ…」
少し弄っただけなのにコレって…。
…銀次が感じやすいのに喜びを感じるのと同時に。

――銀次を壊してしまうんじゃないか…と、少し恐怖も覚えてしまった。
そんなの、自分が抑えられれば済む話なんだけれど。
…銀次相手じゃ、蛮の理性なんて細い糸にも等しいものだから。

「…そ…。ま、それがわかってりゃ大丈夫だろ」
「ん…、して、くれる…?」

…言葉での返事じゃなくて、体への愛撫で答えてやるから…。
お前は、感じたことを全部口にして?
 

 

⇒2

 

 

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